2016年08月10日

拳銃と目玉焼き

2014年公開

ストーリー
冴えない中年の志朗(小野孝弘)の仕事は、新聞配達員だ。趣味はプラモデル作りで・・・独身である。彼が今、唯一の安らぎを感じている場所は・・・行きつけの喫茶店『ノエル』だ。朝、新聞配達が終わった後、必ずそこに行き、目玉焼きを注文する。志朗は『ノエル』のママ(紅萬子)・・・ではなく、アルバイトの店員・ユキ(沙倉ゆうの)に恋しており、ユキの焼いてくれた目玉焼きを食べるのが最高に幸せなのだ。ある朝、『ノエル』では・・・ママが新聞を見ながら「例の痴漢・・・夕べもまた出たんやなぁ。」と呟いていた。ママが常連客のタクシー運転手・サブ(戸田都康)に「あんたが犯人じゃないの?」と冗談を言って笑っていると、いつものように志朗がやって来た。注文はいつもと同じ、コーヒーと目玉焼きだ。サブが「物騒だから送り迎えしたろか?」とユキに言うが、ユキは「サブさんより志朗さんの方が頼りになりそうだ」と言い返す。それが、まんざらでもない志朗。そんな志朗に、ユキの携帯番号を書いたマッチを1万円で売りつけようとするサブだったが(志朗がユキに惚れている事は、周りの皆が気付いているのだ)、変に真面目な志朗は買おうとはしない。自分のタクシーが駐車禁止の切符を切られそうになっている事を知り、店を飛び出して行くサブ。マッチはテーブルに忘れていってしまった。今度会った時に返そうと、マッチをポケットに入れる志朗。

その夜。志朗は趣味のプラモデル作成に勤しんでいたが、ユキに言われた「志朗さんなら、痴漢ぐらい退治してくれますよね」と言うセリフが頭から離れない。そこで夜の街へとパトロールに出掛けるが・・・警官に逆に不審者と疑われ、逃げ回る始末だ。ようやく警官を巻いたと思った所・・・不良少年達がオヤジ狩りをしている場面に遭遇してしまう!弱いが正義感は強い志朗は、後先考えずにその場に飛び出して行き・・・逆にズボンを脱がされ、パンツ一丁にされた上にボコボコにやられてしまう。その隙に、取り出したおもちゃの銃(当たるとそこそこ痛い)で反撃するオヤジ。不良少年達は怒りだすが、近くでパトカーのサイレンが鳴ったので逃げ去って行く。オヤジはバルブ関係の工場を経営する阪本一之介(田中弘史)で、この日は作った玩具の銃を売り込みに行った帰りだったのだ。阪本は志朗に礼をしたいと言うが、志朗は何も考えず飛び出して逆にやられただけなので・・・その場から走り去ってしまう。翌日、志朗がいつものように『ノエル』に行くと、皆が拍手で迎えてくれた。そこには阪本がおり、皆は阪本から事情を聞いたのだ。何故ここに阪本がいるのか・・・と、不思議がる志朗。阪本の手には、志朗が昨日サブから渡されたマッチが。昨日の夜、阪本にタバコを吸う為の火が欲しいと言われ、志朗は偶然持っていたマッチを何も考えずに渡してしまったのだ。阪本がマッチに書かれていた番号に電話すると、ユキ・・・では無く、『ノエル』のママに繋がったという訳だ(サブのイタズラである)。「志朗さん、凄いですね!見直しました。正義の味方ですね!」とユキに言われ、照れる志朗。朝食が終わった後、阪本に呼び出された志朗は、一緒にオヤジ狩りを懲らしめてやろうと誘われる。昨日、散々痛い思いをした志朗はそれを断るが・・・強引に話を進められてしまうのだった。

仕事に戻った志朗。店主(多賀勝一)に、壊れていたバイクをバイク屋へ修理に持って行けと言われる。バイク屋で修理を待っている間、店に置いてあったバイクの雑誌を読んでいた志朗は、バイク用プロテクターの広告を見て『これなら、殴られても痛く無いのでは・・・』と閃く。早速その夜、ネットで注文する志朗。プロテクターにヘルメット、ゴーグル。完全武装した志朗は、阪本と『オヤジ狩り』狩りを始める。作戦は、酔っぱらったフリをした阪本にオヤジ狩りが襲って来たら、胡椒を使った目つぶしガスを噴射、怯んだ所を志朗がボコボコにするというものだ。なかなか現れないオヤジ狩りに、痺れを切らせて道路で本当に寝てしまう阪本。その時、オヤジ狩りが現れた!このままでは、阪本が危ない!何も考えず、飛び出す志朗!プロテクターは有効だが、羽交い締めにされては意味が無い。その時、ようやく起きた阪本が目つぶしを噴射、形勢は逆転。『オヤジ狩り』狩りは大成功に終わった!翌朝、志朗が『ノエル』でいつもの目玉焼きを食べていると、ママが新聞に載っていた『オヤジ狩り』狩りの記事に反応する。それを聞いて、「私は好きやな、悪い事を許さへん人。」と言う、ユキ。それを聞き、その気になった志朗は・・・体を鍛え始める。

朝から喫茶店でバイトをするユキには、もう一つの顔があった。夜になると、マリアという源氏名でデリバリーヘルスをしているのだ・・・。そんな事は、知らない志朗。ユキに好かれたい一心で、正義の味方にのめり込んでいく。コンセントで痺れたのをヒントに、スタンガンを購入し、プラモ作りで生かした技術で、プロテクターに組み込んでいく。前回の時のように、羽交い締めされた時の為の対策である。更に、ヘルメットを加工し、色を塗り・・・特製のマスクを完成させた。全身が黒い色で覆われた、ヒーローの誕生である・・・。一方、その頃ヘルスの仕事を終えて帰宅したユキは・・・同棲中の彼である哲也(矢口恭平)が、またも仕事を辞めて家に閉じ籠っているのに気付き、ショックを受けていた。そして翌日、仕事を探す事も無くパチンコに戯れていた哲也は、金融屋の山盛(ゆうき哲也)の部下に拉致される。この日は、借金の返済日だったのだ。哲也は山盛に、元役者である過去を活かした仕事を斡旋される。そこは黒井(吹上タツヒロ)の事務所で・・・仕事は振込詐欺なのだ。哲也は仕事が決まった事をユキに打ち明け、安心させようとするが、内容をぼかして話そうとしない哲也の様子を変に思ったユキは、翌日仕事場に向かう哲也の後をつける。そして、仕事の内容に気付いてしまった・・・。

ユキが休みで(哲也の後をつける為、バイトを休んだのだ)、ユキの焼いた目玉焼きが食べれなかった志朗。その夕方、いつものように公園でトレーニングに励んでいると、落ち込みベンチに座っているユキを発見する。ユキは、哲也に仕事の事で詰め寄って喧嘩になって、落ち込んでいるのだ。志朗に励まされ、少し明るさを取り戻したユキ。その時、ユキに仕事の電話が入る。志朗と別れ、仕事に向かったユキだったが・・・客は何と、競馬に当たって奮発してヘルス嬢を呼んだ、サブだった!自分の裏の顔が『ノエル』の常連であるサブにバレてしまったユキは、その日を限りに『ノエル』のバイトを辞めてしまう・・・。翌朝、ユキが辞めた事を知り、ショックを受ける志朗。そこに、サブが現れ、昨日の出来事をママに説明する。事実を知り、更にショックを受ける志朗。ママは、ユキが同棲してる男が多額の借金していて、それをユキが一緒に返そうと必死に働いていた事を、志朗達に語る・・・。志朗は真実を確かめるべく、デリヘルに電話してマリアを呼び出す。そして一番時間の長い180分コースを選び、3万円を支払う。サービスすると言うマリアの手を振りほどき、「これ・・・使って下さい!」と、自分の通帳と実印を差し出す志朗。その志朗の気持ちが痛いほど伝わり・・・ユキはいたたまれなくなって、「もう、呼ばんといて下さい!」と言い残し、部屋から出て行ってしまう・・・。

根が真面目な哲也は、ユキに咎められた事もあり、振込詐欺の仕事がどうしても出来ない。仕事を辞めたいと黒井に言い出すが、一蹴されてしまった。だが借金があって身動きが取れない為、八方ふさがりである・・・。そこで哲也は、ユキと逃げる計画を立てる。まず、黒井の車に発煙筒を仕掛け、黒井達をそちらに誘導し・・・その隙に金庫の金を盗み(番号は、不用意に哲也の前で黒井が開けていたのを見て覚えていたのだ)、待ち合わせした場所でユキと落ち合って、田舎へ逃げようというものだ。計画は上手く行ったかに見えた。逃げる準備をしていたユキにデリヘルの雇い主から電話が入る。前日、デリヘルの仕事を辞めていたユキは一度は断ったが、どうしても断りきれず、最後の仕事として現地へと出向く。そこには黒い覆面をした男達がいて、哲也の居場所を吐かせようと、マリアに暴行を働く・・・。ユキは必死に抵抗したが、哲也からメールが届き、待ち合わせの場所がバレてしまう・・・。黒井からの招集で男達は引き上げ、ユキは軽い怪我程度で済んだが・・・哲也は黒井の部下達に拉致られてしまった。

失意に沈む志朗に、電話が入り、居酒屋に呼び出される。相手は阪本と『ノエル』のママで、失恋した志朗の事を励まそうと思ったのだ。すっかり出来上がって居酒屋を出た志朗達は、『ノエル』の入口の所にユキが座っているのを発見する。もう、他に頼る者がいないユキは、どうしていいか分からず・・・ここにやって来たのだ。事情を聞き、そんな男とは別れろというママに、ユキは反論する。昔・・・学生の頃、劇団をしていた哲也とユキ。ある日、自称プロデューサーが現れ、東京で売り出してあげると持ち掛けて来た。哲也は怪しいから止めようと言ったが、チャンスだと思ったユキが話を進め、あちこちから金を借り自称プロデューサーに渡したが・・・結局騙されてしまったのだ。警察に電話しようとするママを止めるユキ。警察に通報したら、哲也も逮捕されてしまうからだ。意を決した志朗は、ユキに「大丈夫ですよ」と微笑み、その場を飛び出して行く・・・。

感想
○元々は自主製作の映画で、監督 兼 撮影 兼 照明 兼 編集 で、しかもコスチューム製作までやっていると知り・・・ショボショボの映像だと想像していたのですが、思っていた以上にしっかりした作品に仕上がっていてビックリしました(笑)。・・・って、失礼でしたね。

○独身で冴えない新聞配達員の中年・志朗は、毎朝喫茶店でコーヒーと目玉焼きを食べるのが日課だ。実は、喫茶店で働くアルバイト店員のユキに片思いしているのである。そんなある日、近辺で痴漢騒ぎがあり、ユキに冗談で頼られた志朗は・・・夜にパトロールに出掛け、偶然オヤジ狩りに遭っていた町工場の社長・阪本を助ける(志朗は弱く、オヤジ狩りに返り討ちに遭うが、パトカーの巡回に救われたのだ)。翌日、阪本にオヤジ狩りを懲らしめようと持ち掛けられた志朗は、ネット通販でプロテクターを購入。作戦は見事に成功(?)し、オヤジ狩りをボコボコにする。新聞にその記事が載り、ユキがそれを褒めた事から、志朗は少しずつ正義の味方として本気になっていく。しかし、ユキにはある秘密があり、それがユキの、そして志朗の人生に大きく変化をもたらしていくのだった・・・というストーリーです。

○弱くて・・・でも、大事な人の為にとヒーローにのめり込んでいく、志朗。最後まで決して格好良いとは言えませんが、私には最高のヒーローに見えました。市販のプロテクター装備してるだけだもんね。そりゃ、普通なら怖くて当たり前だし・・・よく頑張ってたよ!私には出来ないなぁ・・・。

○オチも意外性こそ無いものの、スッキリとした納得の出来だし。良いんじゃないかなー?

○でも哲也、お金盗むのなら夜中・・・誰もいない事務所に忍び込めば、もっと危険無く事を運べたんじゃないかなぁ。ユキも、最初に先に逃がしておくべきだしね。でもそれじゃ、志朗活躍出来ないけど(笑)。

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posted by tome at 10:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画(邦画) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする